スチームパンクの世界に存在するアイテムには、それぞれに物語が宿っています。使い込まれたゴーグル、過去の冒険者が遺した時計、錆びついた機械のかけら——それらはただの装飾品ではなく、かつて誰かが手にし、使い込み、歴史の中で刻まれてきた証 なのです。
たとえば、ボロボロになったレザーのジャケット。ひとつひとつの傷は、空を駆ける飛行船の乗組員が嵐の中を生き抜いた証かもしれません。背中のパッチワークは、かつて急ごしらえで修理された名残。袖口には、計器を操作したときに染みついた機械油の痕跡が残っているかもしれません。
あるいは、誰の手にも渡ることなく、工房の片隅でひっそりと眠っていた懐中時計。蓋を開くと、そこには「1893年、友より」の刻印。贈られた相手はどんな人だったのか、どうしてこれがここにあるのか——想像するだけで、まるでその時計が語りかけてくるような気がします。
スチームパンクの世界では、「アイテムそのものがストーリーテラー」 です。機械仕掛けの義手があれば、その持ち主はどんな経緯でそれを手にしたのかを考えたくなるし、錆びついた鍵を見つけたら、それがどんな扉を開けるために作られたものなのか、気になってしまうでしょう。
